第96条 この憲法の改正は、各議員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国 民投票又は国会の定める選挙の行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
阿部首相の「憲法改正手続きをやりやすくするために憲法第96条改正を参院選の争点にしたい」という発言から、 憲法改正手続きと憲法第96条がクローズアップされている。憲法第96条改正の理由として「日本国憲法は公布以来一度も改正されたことがなく、 世界でもっとも改正しにくい憲法であり、総議員の1/3が反対すると改正を発議できず、国民に審判を仰ぐことができない」。そこで総議員の過半数に変えるとするものです。
果たして日本国憲法は、他の国の憲法と比べて改正要件が厳しいのしょうか?
他の国での改正の中身は?  
 憲法改正手続きについては、衆議院憲法調査会の最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会による
「衆憲資第 24 号 硬性憲法としての改正手続に関する基礎的資料」(平成15年4月3日、衆議院憲法調査会事務局)
が参考になります。その中から抜粋しました。
憲法改正とは、憲法所定の手続に従い、憲法典中の個別条項につき、削除・修正・追加を行うことにより、または、新たなる条項を加えて憲法典を増補することにより、意識的・形式的に憲法の変改をなすことをいう。このように憲法改正は、憲法典の存続を前提としてその個々の条項に変改を加えることを意味し(部分改正)、もとの憲法典を廃して新しい憲法典にとってかえる行為を行為を含まないのを原則とする。後者の場合は新憲法の制定であって、通常法的連続性の断絶を意味する。ただ、憲法の中には新しい憲法典にとってかえる行為をも改正として捉え、これを明記するものがある(1874年のスイスの憲法がその例で、「全部改正と「部分改正」とが共に可能な旨明記しその手続を別々に規定している。(「総論」から抜粋)
上記で指摘されているように
 憲法改正は、憲法典の存続を前提としてその個々の条項に変改を加えることを意味し(部分改正)、もとの憲法典を廃して新しい憲法典にとってかえる行為を行為を含まない。
であり、
自民党草案は、現憲法とは根本的に異なるところがあり、「緊急事態」などの新しい条項も多く含まれています。
「憲法改正限界説」によると現憲法の国民主権主義、基本的人権尊重主義、平和主義の根本規範を変えるような限界を超えた改正は、もはや改正とはいえず、これは、全部改正、新憲法の制定にあたるのではないでしょうか。
また、各個人について○条は改正賛成であるが、□条は改正反対ということもあるので、改正は一括ではなく、個々の条ごとに改正の発議と国民投票を行うべきです。
日本国憲法は、他国の憲法と比較して改正条件が厳しいのか。各国の憲法改正手続き要件
憲法は、国民の人権を守り、権力の横暴を防ぐ最高法規であり、憲法改正には大部分の国で高いハードルを設けています(硬性憲法)。
 むしろ日本より厳しい国が多く、「過半数に緩和した改正手続き」は、極めて例外的であり、イスラエル、ニュージランドなど極めて少数派です。
従って、「日本の憲法は諸外国と比べて改正要件が厳しい」はウソです。
各国の憲法改正要件
憲法改正要件
米国 上下両院の出席議員の3分の2以上の賛成で改憲を発議。全50州のうち4分の3以上の州議会で承認
ドイツ 連邦議会の3分の2以上と連邦参議院の3分の2以上の賛成
韓国 議会の3分の2以上と国民投票(投票率50%以上必要)で
フィリピン 議会の4分の3以上と国民投票(投票率50%以上)で
フランス 議会の3分の2以上と国民投票
スペイン 議会の5分の3以上と選挙を行った後に再議決で5分の3以上の賛成と国民投票
イタリア 議会の3分の2以上と一定期間後の再選挙を行った後に再議決で3分の2以上の賛成,それ以下のときは国民投票
イタリア 議会の3分の2以上と一定期間後の再選挙を行った後に再議決で3分の2以上の賛成,それ以下のときは国民投票
ロシア 下院の3分の2以上、上院の議会の4分の3以上と3分の2の州議会の承認
各国の憲法改正の中身
 他の国では、それぞれの事情(例えば、ドイツでは東西統一、EU加盟、韓国では軍事クーデターなど)により、制度の変更などのために改正回数が多く。厳しい改正要件の下で国民的合意により改正しています。 決して国民主権、基本的人権などの根本規範の改正は行われていません。
憲法96条の発議要件緩和に反対する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_130314_2.pdf