日本のエネルギー自立への道

桐生 悠一


最 後 に


1.特許願なのに早期公開する理由

提案の具体的内容が全て特許願になっている。
この提案は特許権の売り込みかと思われるかも知れない。
筆者は特許文書の持つ特別な働きに注目して、そのような道を選んだ。
特許文書は日本国が存在する限り存続する。他国の技術者や関係者が絶えずウォッチしているグローバ ル性がある。配布先が限られる一般文書ではこうは行かない。多くは配布先以外の人々の目に触れる機 会すらなく、歴史から姿を消す。学会誌ですら、この動きの激しい時代に何時までその学会が存続し得 るのか保証の限りでない。
後世の評価を待つなら、特許文書に勝るものはないと筆者は考える。特に特許権を取得した場合は、信 用度が格段に高くなり、多くの関係者の真剣な注意を惹くことができる。
ここに公開された提案中4件は出願されて 18 ヶ月後の特許願公開を待たずに開示されている。これは 出願者にとって禁手であるが、 一日も早く日本がエネルギー自立を果たして欲しく、 敢えて禁を破った。
これを第1段ロケットとして、読者が更に自らのアイディアを加えた第2段、第3段のロケットを飛ば せていただくことにより、日本のエネルギー自立の大きな動きが沸き起こることを心から期待する。


2.黒潮発電に関して

嘗て船上から、 「あそこからが黒潮だ」と教えて貰ったことがある。そこには黒々した海域が滔々と流れ ている。その迫力には言葉を失った。 「黒潮発電は実に愚かなアイディア」 「偽予言者に騙されるな」 等の黒潮発電を貶めるブログも見られる。 だが、黒潮の圧倒的な姿を自分の眼前にして、それが言えるのか。 黒潮には流速 2m/s の海域はあちこちにある。このエネルギー密度は風速 19m/s に相当する。年中無休 で同じ方向から風特有の息(短時間で流速が大きく変動する現象)もない一定速度の風が吹いているサイ トがあると聞いたら、風力発電の関係者はどう反応するだろうか。それが黒潮の姿なのである。 現在、本来なら黒潮発電を担うべき人たちが及び腰なのは、海中での建設作業やメンテナンス作業の難 しさをよく知るからだと筆者は思う。それ故、ここでの提案は、海底基礎や係留索・中継ブイ等の建設・ 保全以外の作業は全て海上で行えるように構成した。本文の図面を見、特許願文書に当たっていただけ れば、容易にご理解いただけると思う。


3.原子力による水素製造について

離島・地下で原子力により水素を製造し、本土に送るというコンセプトは、日本国民の集合智として既 に形成されつつあったと思われる。誰かが公表するのは時間の問題であったろう。筆者はそれらの要素 に「原子炉設置のその場所で」 「中間処分+最終処分を行う」ことを加えただけかも知れない。 「重要な発明は世界各地で同時並行的に行われる」というよく知られた経験則があり、離島地下原発は 将にこれに該当する。本件で大切なのは、そのコンセプトを一日も早く実現し、日本の原子力産業を再 活性化させ、国民が将来の日本のエネルギー自立に向かって希望と自信を持って活動できる環境を作る ことだと信ずる。 薪から石炭へ、石炭から石油へのエネルギーのパラダイムチェンジはそれぞれ 50 年間を要している。 2015 年が水素化元年だとすると、2030 年頃までが導入期になろうか。それまでに少なくも数基の離島 地下原子力水素基地が稼働していれば、日本の前途は洋々たるものになる。


以 上
ご覧いただいたことを感謝します。

ご自分も日本のエネルギー自立を推進する行動を起こしてください。


2015/5/5  桐生悠一