水は、常温、大気圧下では液体であり、大気圧下100℃で沸騰し、気体になります。
水は22.1MPaの圧力下では374℃まで液体の状態を保ち、これを亜臨界水といい、これ以上の圧力、温度の状態の水を超臨界水といいます.
水は常温常圧でも水分子の衝突により電離しています。温度が上昇するにつれ、水分子の衝突頻度が上がり、電離が進みます。超臨界の状態では通常の水より水酸化イオン(OH-)の濃度が非常に高くなります。
この水酸化イオンが蛋白質のペプチド結合を加水分解してアミノ酸を生成させます(下図)。
脂質や糖質も同様のメカニズムでそれぞれ脂肪酸やグルコースに加水分解されます。
超臨界水はステンレスをボロボロにしたり、タンパク質をアンモニアにまで分解したり、強力な反応を起こします。しかし、これでは反応が強すぎて扱い難いので温度を374℃以下、圧力を22MPa以下にした亜臨界水がいろいろな目的に利用されています。亜臨界水では酸化反応はほとんど起こらず、有機物はアミノ酸や脂肪酸などの分子まで分解しますが、二酸化炭素を発生させることはありません。
亜臨界水は,生ごみや廃木材,紙くず,動物の糞尿,下水汚泥,廃油など,天然有機物なら何でも分解しますので、さまざまな分野で活用されています。廃棄物からアミノ酸や油などの有用な物質を取り出し、それを発酵させてメタンガスを取り出す技術などが確立しています。