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炭化法の原理と方法
炭化(炭素化)によるごみ処理法
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「炭化法」は無酸素または低炭素還元雰囲気内において450-600℃で有機物を熱分解し、炭化物、液状成分、ガス成分に分離します。製造される炭化物は、製鋼所でのコークス代替利用などの工業用途をはじめとして、培養土賦活剤、土壌改良剤、融雪剤など、幅広い用途に利用することが可能です。家庭ごみを炭化した場合、炭化物の量は原料ごみの約1/8になり、灰分、塩分、重金属類を含んでいますので成分分析と脱塩などの除去処理が必要です。液状成分とガス成分は燃料に利用されることが多いようです。完全無酸素状態ではダイオキシンは発生しませんが、低酸素状態では留意する必要があります。金属類は原形を保ったまま回収されます。

炭化(炭素化)の方法

炭化温度は450℃が多く、400-600℃の範囲。加熱方法は炉の中で加熱する内熱と炉の外から加熱する外熱式があり、床が固定式か移動式かに分類されます。移動式の方が加熱効率が良く、炭化時間は短い特長があります。流動層炉は、設置面積が少いという特長がありますが、流動床の砂を空気で吹き上げるため。無酸素状態というより、低炭素状態になります。ロータリー炉は無酸素状態になりますが、横型で設置面積を広くとる必要があります。
名称 分類 加熱方法 炭化温度(℃) 炭化時間 方法
乾留炉 密閉型炭化炉(固定床) 外熱 350−500 数時間 バッチ式、外熱で加熱
流動層炉 縦型(密閉・移動床) 内熱 400-600 15-30分 床より少量の空気を吹上て砂をかき混ぜて加熱分解
ロータリー炉 回転式炭化炉(密閉・移動床) 内熱/外熱 400-700 15-30分 ローターを回転させて内熱または外熱で加熱
スクリュー炉 横型炭化炉(密閉・移動床) 外熱 350-500 30-40分 スクリューでを移動させて外熱で加熱

密閉型炭化炉

 この装置の特長は、密閉した容器内の酸素を窒素で置換したりや真空にしてを外熱で加熱するので ほぼ完全な無酸素状態にできることです。完全な無酸素状態であればダイオキシンの発生は極めて少ないと思われます。 外熱のエネルギー源として電力や燃料(生成した炭化物または石油など)を使います。 この装置は炉へのごみの出し入れが必要なことや加温と冷却の時間がかかるため小規模向きです。
 利点として細かい条件設定ができることあげられます。下記の方式では150℃、300℃、450℃の3つの温度で処理しています。 加熱温度と加熱時間を制御することで炭化物の性状を変えられる可能性があります。
 バッチ式(EEN社)と連続式(テクノプラント社)があり、いずれも実証試験段階です。   
バッチ式密閉炉
  プラントメーカー:EEN
  実証段階
廃棄物
  ↓
[窒素置換工程]空気が抜かれ窒素が注入される。窒素は空気中から分離される。
  ↓
[水分蒸発工程]150℃の熱で水分を蒸発させる。
  ↓
[塩素除去工程] 300℃で塩素分が蒸発、空気にふれないので、微塩素イオン水として回収される。
  ↓
[分解炭素化工程] 残った有機物は450℃で純度の高い炭素に変化する。
  ↓
[冷却工程] 蓋を開けても発火しないよう、冷却される。
  ↓
炭素化生成物
EEN炭素化工程
上図の炉はすべて同じバッチ式密閉炉(図は工程の経過を示す)
連続式密閉炉
  プラントメーカー:テクノプラント
  実証段階
上記のバッチ式工程を連続して行う。連続した密閉炉の中をごみを運搬するトレーがレール上を移動してゆく。
テクノプラント炭素化工程
流動層炉

流動床式炭化炉

 導入施設(プラントメーカー):田原市炭生館(日本ガイシ)
  、  
密閉した炭化炉内の底に砂の層を置いて、加熱した空気でこの砂を500前後に熱すると同時に振動させます。裁断したごみは砂と攪拌されて炭化します。空気を送るので無酸素ではなく低酸素状態での炭化になります。その為、少し燃焼も起こり、ダイオキシンの発生と焼却灰の生成もあると思われます。 砂の振動で粉体になった炭化物は、ガス状成分とともに炭化物回収器に送られます。ここで遠心分離により炭化物を主成分とする固形物は下部に集められます。 ガス状成分は熱回収器を経て、バグフィルターを通し、排気されています。熱回収器で得た熱は砂加熱用の空気の加熱に使われています。
金属や陶器などの無機物は炭化炉の下に回収されます。
炭化生成物は、製鉄所のコークス補助剤などに活用されています。
縦型なので設置面積は比較的小さくて済みます。   

回転式炭化炉

 導入施設(プラントメーカー):名寄市炭化センター(栗本鐵工所)、糸魚川市清掃センター(日立)、 回転式炭化炉  
外熱式(右図)と内熱式があります。外熱式の方が無酸素状態を保てます。回転式炭化炉(ロータリーキルン)に入ったごみは、 外熱で加熱されたローターの中で無酸素状態・500℃前後で熱分解され、炭素を主成分とする炭化物なります。炭化物と金属などの無機物は冷却されて回収されます。ガス状成分は熱交換器を経てバグフィルターを通してから排気されます。
炭化物は、製鉄所のコークス補助剤や燃料などに活用されています。
  
スクリュー式炭化炉

スクリュー式炭化炉

 導入施設(プラントメーカー):福島県双葉地方広域市町村圏組合汚泥リサイクルセンター(巴工業)  
回転式炭化炉(ロータリーキルン)は、ごみの充填率が低く、横長で広い設置面積を必要とします。
この炭化炉は、スクリューの回転で内容物を運搬します。充填率が70%程度と高く、上下に階層状に設置できますので、 比較的狭い場所でも設置できます。炭化の原理は、回転式炭化炉と同じです。
炭化物は、製鉄所のコークス補助剤や燃料などに活用されています。