平成12年度に始まった設置型生ごみ処理機(市内に4基)はうまく行かず
2008年3月に中止し、新たにHDMシステム(生ごみ減容処理システム)を実証試験を2008年10月から開始し、20094月から本格稼働している。
施設は、倉庫のような建物(空いていた建物を使っているとのこと)の中に大きなごみの山があるだけ,特別の設備もない極めて簡単なものであった、これで1万所帯を対象に生ごみ処理をしているというのだから驚きである。 また、建物は大きな出入り口が二カ所開放されているが(写真)、入口でも臭いは感じられなかった。
建物の中に入ると木くずのチップを母体にした菌床が高さ1mくらいの山積みにされており、丁度ホイールホッパーで生ごみと菌床を撹拌しているところであった(写真 右)。菌床に接近すると堆肥独特の臭いがした(写真 下)。
24時間で90%以上減容化される。4月の本格稼働開始から毎日生ごみを追加しているが(4t/日)、菌床の大きさはほとんど増えていない、すなわち追加した生ごみはほぼ消滅していることになる。
菌床には白い断片が多数混在していたが(写真 左)、これらは生分解性の生ごみ袋の分解されていない結び目の部分である。この生分解性の袋は徐々に分解されて行く。
生分解性の生ごみ専用袋を使った生ごみ収集方法は、ごみを出す側の市民には一般の燃やすごみ出しと同じ感覚で生ごみをだせるので親しみやすいやり方である。
久喜宮代衛生組合の生ごみ減容処理システム(HDMシステム)の概要
●処理方法:木くずのチップを母体にした12種の菌を含む菌床に
生ごみを投入して撹拌。50ー70度に発熱。24時間で90%以上減容。
●生ごみは毎日菌床に追加して行くだけの手軽さ。
4月からこれまで生ごみを300トン投入、菌床+生ごみの量はほとんど変化なし。
すなわち生ごみは100%近く減容している。
●設備:特になし。床にある山積みされた菌床に生ごみを混ぜるだけ。
●機械設備ではないので瓶や缶、紙、木材などが多少混在しても構わない。
●数ヵ月後に篩にかけて菌床を回収。同時に混在物も回収。
篩の目を通った堆肥は投入した生ごみの2%程度でこれは希望者に配布
●施設の面積:1トン/日当り50平米が目安(幅5mx長さ10mx菌床の高さ1.5m)
炉とか箱の場合のような制限はなく、床の上で直接発酵させるので融通がきく。
●設備は雨風が防げる建物だけ。プレハブでも良い。
設備投資は簡単な建物くらい。他に生ごみの破砕機が1台あれば良い。
見学したのは余っていた建物を利用したとのこと。
●ごみバンカーは不要。事前の乾燥は不要。
●人手:生ごみ投入時に撹拌するだけ。
自動撹拌付のものもありますが、ここではブルトーザーで撹拌していました。
生ごみを投入しないときは2日間は撹拌しなくとも良い。
数ヵ月間ただ投入するだけの手間いらず。
●臭い:ほとんどなし、1mくらいに近づくと少し臭うが生ごみ臭ではない。
●騒音:なし
●煙突:なし 煙は出ない 二酸化炭素と水蒸気が発生
●電気代:不要 生ごみを破砕する場合に少し
●年間のコスト:1600万円(業者への委託費、人件費・菌床代などすべて込)
2008年3月に中止した設置型生ごみ処理機の場合は年間8000万円かかり
しかも処理量が少なかった(40kg/日x4基)
●堆肥の生成は少ない:生成物の用途に困らない
●生ごみの分別収集は生ごみ専用の袋(写真右)を使用。
透明で中が見える。排出者の名前を記入する欄がある。
生ごみ専用袋は、生分解性のもので菌床にそのまま入れる。
実際、菌床の中で縛った部分を除いて袋は消失していました。
生ごみ専用袋は1枚当り14円。これを対象全世帯に無料配付。
現在、これが一番のコスト。
●燃やすごみは別の袋(久喜市はごみ袋有料制度をやっていない)
●収集は週2回(燃やすごみの日と同じ日)
●対象:10000世帯(全世帯(41000)の1/4で実施)ー実際は5000世帯程度とのこと
●困っていること:生ごみ専用の袋に生ごみ以外のごみが入っていることがある。
久喜市は15種の分別収集をしていますが、分別に他の種類のごみを混ぜる人
がいて、分別収集の徹底が課題。