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炭化法の原理と方法
炭化(炭素化)によるごみ処理法
炭素生成の原理     炭化(炭素化)の方式     導入例     施設見学記     炭化(炭素化)法ごみ処理の考察      
原理
有機物は、無酸素状態で500℃前後で加熱すると熱分解して炭素(炭)になります。古来、この原理を応用して木炭が作られてきました。 「炭焼き」と言いますが、燃やしているわけではありません(燃やすと灰や消し炭になります)。
 ごみの有機成分の大部分は個体の炭素になり、その分、二酸化炭素(CO2、炭酸ガス)の発生がなくなります(下図)。 従って、ごみを直接燃やさない炭化法では炭酸ガスの発生が大幅に減少します。「低炭素時代」にふさわしいごみ処理方式と言えます。
償却と非焼却
無酸素状態ではダイオキシンは発生しませんが、 低酸素状態では留意する必要があります。
金属類は原形を保ったまま回収されます。
生成した炭素には肉・野菜など生体に含まれているミネラルなどの成分が含まれています。
 窒素で置換した密閉炉の中で450℃で加熱する方式を「炭素化法」として別に分類することもあるようですが、「炭素化法」は、「炭化法」と 基本的には同じであり、「炭化法」の一方式とみなされます。いわゆる「炭素化法」の特長は窒素で置換してより無酸素状態に近づけていることです。     
炭素について
炭素(元素記号:C)は、原子では6番目に軽く、個体で実用的に安定に存在できる原子ではもっとも軽い元素です。 炭素原子1ヶで最大4つの結合する手を持っており(四方炭素、例:水素が4つ結合したのがCH4(メタン))、結合の種類は、 一重結合、二重結合(三方炭素、例:H2C=CH2(エチレン)、芳香環化合物)、三重結合(二方炭素、例:アセチレン)があり、 多様な構造を作ることができます。炭素と炭素の結合エネルギーは大きく、安定しています。また、一重結合、二重結合、芳香環化合物の順に安定であり、6員環芳香族は特に安定です。   
炭素結合
    炭素原子のみで大きな分子を作ることも大きな特長です。非常に沢山の種類があり、それらは炭素同素体と呼ばれています。 炭素同素体の一覧を下記に示しました(「炭素・自問自答」大谷杉郎著、裳華房(2007)より引用)。
炭素同素体一覧
炭素の種類 典型的同素体 分子性同素体 低規則性同素体
四方炭素 ダイアモンド   配向性乱層炭素群
無配向性乱層炭素群
超乱層炭素群
三方炭素 黒鉛 フラーレン類
二方炭素 カルビン類 鎖状・環状低分子類
代表格のダイアモンドは、炭素原子が4方向に格子状に一重結合した大きな分子で(四方炭素)、極めて堅固で安定した構造をしています。 黒鉛は、炭素原子同士互いに3方向に結合したベンゼン環(三方炭素)が平面状に引き詰められた巨大分子が同間隔で層状になっています。
ごみから生成する炭化物は上記表の無配向性乱層炭素群に分類されます。
ごみ中の有機物の炭素化の過程
ごみ(有機物)を不活性化雰囲気の中500℃前後で加熱すると低分子のガス(水や二酸化炭素など)が発生し、CーCの結合が切断されてラジカルが生成し、ラジカルは不安定で直ちに新しいCーC結合を作ります。新たな結合はより安定な二重結合、さらに6員環状芳香族化合物(一部5員環や7員環縮合)の巨大分子へと変化してゆき、さらにそれらの巨大分子がネットワーク状に結合した3次元構造(黒い塊)になります。これが炭化法で生成する炭化物であり、この状態ではまた10%程度の酸素や窒素を含んでいます。黒炭はまだCOOH基が残っており、アミン化合物を良く吸着し、アミン臭の脱臭に向いています。
炭素化の過程